escape実験区

グッド・バイ, ハロー, スロー・エモーション

夏が終わるーるーるー

昼下がりにサングラスをかけて、屋根裏部屋へ上がる。
窓を開けて、側にもたれかかるようにして座る。


サングラスをかけるのは、眩しさが目に堪えるから。かけないとかなりツライ。
窓から顔を少し出して、雲を眺めて、数枚写真におさめる。あとはのんびりと、雲や風景を眺める。


風景といっても特別景色がいいわけじゃない。
見えるのは、道路や交差点を行き交う人々や車。
強い日差しで影とのコントラストがはっきりと表れたアパート。マンション。鉄塔。電柱。
平凡な景色だ。


この時間アスファルトの上を歩く人たちは遠目で見てもやっぱり暑そうにしている。
自分もときどきこの時間帯に外を出歩くけれど、正直雲や景色を眺める心の余裕はない。


日光が直接当たらないこの時間帯の家の窓からなら、心置きなく雲を眺められる。
屋根裏部屋にエアコンは付いているけれど、こういうときくらいは本来の夏のじりじりとした暑さを肌で味わいたいので、冷房はつけない。
だから、眺めるといってもせいぜい10分くらい。


サウナに入ったときのように、すぐに体のあちこちからじわりじわりと汗が染み出してくる。
建物の間を吹き抜けてくる風が、案外涼しくて癒される。


セミの声が遠くの方から聞こえてくる。
鳥たちはどこにも見つからない。
アパートの屋根に立っている錆びついたアンテナが、不安げに風に揺れている。
遠くの空で飛行機が悠々と飛んでいる。


実際、8月が終わっても夏らしい暑さはしばらく続く。けれど、8月の終わりと一緒に夏も終わってしまうような感覚は、小学生の頃から変わらない。
例年どおり、今年も寂しい気持ちになっている今日この頃。


終わろうとしている今年の夏にしみじみしながら、無理しない程度に残暑を楽しもう。
入道雲の写真もまだ撮りたいな。