escape実験区

グッド・バイ, ハロー, スロー・エモーション

「」

差し込む光に誘われて
帳の向こうに広がる乾いた大地を視る
今日もひとりで 小さな魔法の呪文唱えながら


偽りの鐘の音が 空に鳴り響く
天空には無垢のアヤカシが住んでいて
鐘はヤツが気まぐれに鳴らしてるとか なんとか
この前 本で読んだのさ


とっくに夢物語は終わりを告げたのに
現実の出来事なのに
みんな気付かないんだ
悲劇は始まってるのに 困ったもんだ
明日を生きてく君は何を思う?


鐘の音に魅せられた人々は
虚ろな目で 鐘の音を合図に
窓の向こうで立ち上る蜃気楼
ひたすら数え続けてるんだ


他の何もかも 身も心も全てを
置き去りにして


歓喜の声 張りあげるほどに
砂煙の中 掻き消されてゆく
地に落ちる影は灰色に褪せて
喉の渇きも 癒されないまま


やがて彼は姿を消して
鐘の音が途絶えたとき
人々が手にするのは
二度と帰らない時代なのか
二度と消せない傷痕なのか


君はどっちだと思う?
僕は──